2013.6.1.
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第54回全国大会(日本大学生産工学部)において「ものつくりと子どもの人間工学」のシンポジウム 司会:鳥居塚崇先生(日本大学)が開催されました。
- 子どもの製品事故のためのガイドライン 越山健彦(千葉工業大学)
- ものの正しい使い方教育 人間工学的製品としての子どもの靴を正しく選ぶ知識と正しく使う意識 吉村眞由美(労働科学研究所)
- 子供の成長を考慮したものつくりにおける人間工学の課題 岡田明(大阪市立大学)
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2012.6.10 |
第53回学会全国大会(九州大学)において「子ども人間工学の諸問題」のシンポジウムを開催しました。
- 人間工学がもたらす子どもの明るい未来 子ども人間工学委員会を通じて学んだこと 江川
賢一( 明治安田厚生事業団)
- ものの正しい使い方教育 産学官連携による靴教育を支援することも用椅子開発の取り組み 吉村眞由美(金城学院大学)ほか
- 野趣的外遊びが子どもの発育発達に及ぼす効果と人間工学の役割 中川千鶴(鉄道総合技術研究所)
- 子ども時代の遊び体験と危険感受性 田口豊郁(川崎医療福祉大学)
- 子ども人間工学の諸課題 子ども人間工学委員会をまとめて 小松原明哲(早稲田大学)
今回は幼児〜児童を対象とした子どもの発育・発達や生活教育に関連した議論がなされ、子どもに対する大人の役割として「正しいことを教える」という側面と、「育つための場を提供する」ということ。また、安全と冒険をどう折り合うか、安全を盾にして大人が子どもの発達の責任回避をしてはいけないなどの議論がなされました。また、委員会活動を総括し、人間工学においての子ども研究の課題と研究者のスタンスへの提言が示されました(総括のパワーポイントはこちら)。
子ども委員会としての活動は今回で終了ですが、今後も細く長い活動を継続することの必要性が確認されました。
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2011.12.10. |
関東支部第41回大会(芝浦工業大学)において「子どものための人間工学」のシンポジウムを開催しました。江川賢一先生(子どもの人間工学委員会副委員長、
明治安田厚生事業団)からの趣旨説明に引き続き、2件の講演がなされました。
- 申紅仙先生(常磐大学)には「親は子供の事故リスクをどのように捉えているのか」をテーマに、大学附属幼稚園の事例研究の成果を報告していただきました。
子どもの生活空間の「ヒヤリ・ハットマップ」の作成を通じて、保護者の責任意識の向上や過保護とリスク学習のバランスをどのように取るか?といった課題が考えられました。
- 鳥居塚崇先生(日本大学)には「比較文化的観点から見た子ども人間工学の役割と課題」をテーマに、日独の子どもの生活文化や養育者の態度・行動の違いから人間工学が子どもにどのように貢献するのか?という問題が提起されました。
人間工学はモノと人間との関係を追究する領域なので、子どものための人間工学には独自の哲学が必要だろうと指摘されました。
上記二通の講演を受けての総合討論では、社会の変化とともにニーズ、役割が変化し、世代間差にも配慮が必要であること、人間工学的視点に立つと、利便性・効率性・快適性や安全性と、教育性や発達支援性とのトレードオフを子どもにどのように提供するのかということがポイントとなること、
研究者、製品開発者、サービス提供者、ユーザ(子どもと養育者)の役割と責務を明確にすることについて意見が出されました。今回のセッションでは、子どもを守る、子どもを育てるという視点は不可欠であり、今後さまざまな研究を推進する必要性を確認することができました。なお、セッションの最後に鳥居塚先生から子どもの人間工学に関して、ウクライナの研究者から国際交流のオファーがあるとの紹介がありました。
最後に、委員長の小松原先生に全体の総括していただきました。以下、要点を記載します。
- 子どもの保護の観点で、過保護と完全放任の間に、「適度な保護」がある。製品設計や環境設計においてはここを見つけ出すのがポイント。
- 「子ども」をよく知らないままに親になってしまうと、無知・無関心、過保護、子どもをペット化してしまう親になってしまうことがある。青年期に子どもと係わり合いを持つことも重要。
- 「モノづくり」の観点では「子ども製品」「子どもとの共有製品」「子どもが使うべきではない製品」に対象製品は分類される。それぞれに必要な考え方は異なり、この点の整理が必要
- 一方で、「子どもの興味をそそる要素」「子どもの身体強度」「子どもが窒息しない寸法」などは、製品によらずに必要となるデータ・テクニックであり、この整備が必要。
- 今からかれこれ10年前に、日本学術会議や人間生活工学研究センター(HQL)で、子ども人間工学に関わるワークショップや研究会、雑誌(「人間生活工学」誌)の特集などを行ったが、一部を除き学界、業界の反応はとても乏しかった。最近になって徐々に関心がもたれるようになって来た。子ども人間工学について、子育て真っ最中の先生方の、それぞれの専門の立場からの積極的なかかわりが期待される。
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2011.6.6. |
第52回学会全国大会(東京)において「少子超高齢社会における子ども人間工学の課題」のシンポジウムを開催しました。
- 少子超高齢社会における子ども人間工学の課題 江川 賢一(日本人間工学会子どもの人間工学委員会,
明治安田厚生事業団)
- 母親の育児におけるインターネット利用 外山 紀子(津田塾大学)
- 子どもを犯罪から守るための環境整備 横矢 真理(NPO 法人 子どもの危険回避研究所)
- 共に遊ぶ、共に生きる ―目や耳の不自由な友だちともいっしょに楽しめる「共遊玩具」推進の活動― 高橋
玲子(日本玩具協会)
【議論】
少子超高齢社会において,人間工学会では高齢者向けの製品開発に関する研究は進んでいるが,子どもを対象とした研究は少ない.
今回,3人の先生方から人間工学と隣接する領域における研究事例を紹介していただいた.
・現代の育児環境においては,身近な相談相手が少なく,インターネットを利用する母親が多くなっている.
・子どもの成長とともに生活圏が拡大するが,それに応じた総合的な防犯対策が追いついていない.
・視力障がいの有無に関わらず,いっしょに遊べる共遊玩具は,大人にも子どもにも楽しい遊びの機会を提供する.
議論では生活者としての子どもの身の回りにある様々なハード,ソフトが子ども向けに設計されているとは限らないこと,人間工学の関連領域の研究者が関与する余地が大きいこと,現状では具体的な研究課題が明確となっていないことなどが討議された.
これらの課題について,委員会を中心として整理すると同時に,この領域における研究開発が期待される.【江川記】
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2010.12.5
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関東支部会第40回大会(東海大学高輪校舎)で「子どもを育み育てる人間工学」のシンポジウムを開催しました。
「子どもを育み育てる人間工学」
・子どもを育てる人間工学 小松原明哲(早稲田大学理工学術院)
・ものの正しい使い方教育の必要性−靴を正しく使っていますか?− 片瀬眞由美(金城学院大学生活環境学部)
・遊具を中心とした子ども用品の安全の取組み−安全基準と人間工学的視点から
− 越山健彦(千葉工業大学社会システム科学部)
・子どもの遊びを通じた元気づくり−運動生態学からの考察 江川賢一((財)
明治安田厚生事業団体力医学研究所)
【議論】
・ものを”正しく使う”の「正しく」の意味は、発達段階のある子どもの心身機能にとって「正しい」という意味と、 メーカが(時に恣意的に)定めた「正しい」という意味の二つがある。両者は本来一致していなくてはならない。
・「正しく使う」ことは、子どもや保育者に対する広報的教育が必要。さらには、より抽象的本質的に、「ものには正しい使い方がある」という、基本的な生きる力の形成に資す教育も必要。
・正しく使うこと以前に、そもそも「使う」ことへのモチベーションがなければいけない。
・モチベーションは、その「もの」の使用の context のもとに形成される。ここでいうcontext は、利用局面、さらには地域性、生活文化、国民文化など、大きな概念である。
・context を作る必要もある。換言すればものを使う「物語」が存在しなくてはならない。例えば遊具では、単に公園のオブジェとなってはいけない。
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2010.6.20 |
第51回学会学術集会(札幌)において「子どものために人間工学が出来ること」のシンポジウムを開催しました。
「子どものために人間工学が出来ること」
・子どものために人間工学が出来ること
小松原 明哲 (早稲田大学)
・子どもを考慮した人間中心設計に関する一考察
岡田 明(大阪市立大学)
・ものの正しい使い方教育-靴教育の視点から-
片瀬 眞由美(金城学院大学)
・保育・教育の現場からみた子どもの体力 江川 賢一((財)明治安田厚生事業団体力医学研究所)
・子どもを元気する遊び場のための子どもの日常行動の科学・工学 西田
佳史(産業技術総合研究所)
・地域で子どもが巻き込まれるトラブルの発生メカニズムとその対応策に関する検討 鳥居塚崇(日本大学)
【議論】
・子どもの心身の健全な発達とはどういうことか。安全は健全な発達に含まれる概念ではないか。
・人工物(製品)設計においては、保育者や地域も stake holder に含めて考えなくてはならないのではないか。
・子どもに人間工学の考え方や技法、事例を教える意義は、生きる力や生活者としての自立の基礎として極めて有益なのではないか。
などの議論が交わされました。
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2010.6.19 |
学会総会の承認により、子ども分科会から委員会へと、組織上の位置づけが変わりました。 |