■MODAPTS法の概要
MODAPTS法(モダプツ法)は、インダストリアル・エンジニアリング(IE)の手法である、PTS法(predetermined time standards)の一種です。人間の自然な随意動作には、身体に障害がなければその動作時間値には個人差はほとんどありません。そこであらかじめ、動作とその所要時間値を調べておくことで、次の利点が得られます。
- ある作業や機器の操作を行うときの所要時間(正味時間)を、作業動作、機器の操作動作さえ分かれば、予測することが出来る(実測しないでもよい)。
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裏返せば、作業のどこにムダや無理があるかを、時間を尺度に評価することが出来る。
このような用途を想定して作られた時間値表が、PTS法といわれるもので、一般事業場などでの作業動作を対象に調べられています。PTS法の代表的なものに、MTM、WF、そしてMODAPTSなどがあります。
MODAPTS法(modular arrangement of predetermined timestandards)は、オーストラリアの故G.C.Heyde氏により開発され、その指導と許諾のもと、早稲田大学故横溝克己教授により1970年代に日本に導入されました。
現在、次の領域で幅広く使われ、大きな成果をあげています。
- いわゆるIEの手法として : 手作業の要素の多い、組み立てなどの製造業、流通業、サービス業での、標準時間設定、作業改善、カイゼン活動、生産性・能率向上、原価の積算、協力会社(納入先、納入元)との価格交渉、及びそれらの効果評価、小集団活動のツール、指導手法として
さらに
- 設計案が作られたときの操作性や操作時間の点での、機器や装置のユーザビリティ評価のために
- 作業リハビリテーションの評価指標、身体障害者の方の職業訓練、作業療法評価法として
- コンピュータマネキンに搭載して自然な動作生成のために、またマネキンを適切に使用するために
MODAPTS法との大きな特徴は、その動作を行うときの身体の動きに着目したことで、要素記号が精選され、短期間の学習でも容易に修得ができ、実務的精度の高い分析、作業評価、正味時間設定などが出来るところにあります。このため、事業所では現場作業員にモダプツ法を教えてしまい、自主改善、自主管理へとつないでいる例が多いのです。また海外協力企業との原価折衝などにおいて優れた効果を発揮しています。MODAPTS法は”The
Language of Work” と称されるように(国際MODAPST協会)、作業設計の基本としてますます重要性を帯びてきています。
この手法について詳しく知りたい方には、下記の図書をご覧ください。 ・日本モダプツ協会編、モダプツ法による作業改善テキスト、日本出版サービス
・人間生活工学研究センター編、ワークショップ人間生活工学 第2巻「人間特性の理解と製品展開」、丸善
■MODAPTS法を習得されたい方へ 【日本モダプツ協会】
MODAPTS法技能認定の「公開講習会」及び「企業内講習会(インストラクターが訪問して実施)」については、日本モダプツ協会が(一社)人間生活工学研究センターに業務委託し、モダプツ法インストラクターにより実施しています(所定カリキュラムを実施し、試験に合格した場合は、日本モダプツ協会より技能認定証授与)。受講希望の方は、同センターに直接、お問合せ下さい。
モダプツ法は習得自体は容易で、技能認定講習会は、2ないし3日間のコースで行われます。ただしシンプルなだけに、誤適用が生じやすい点もあります。これを避けるためには実技演習が必要ですので、必ず、技能講習会に参加し、技能認定を取得してください。
なお、本手法の著作権は、モダプツ法の著作権者(オーストラリアニュージーランドモダプツ協会)が有しており、日本モダプツ協会はその許諾のもとに指導をしています。このため、個人、団体が、営利を目的としたモダプツ法のセミナー、モダプツ法コンサルタント業、出版等を許可なく行うと権利の侵害となりますので、十分ご注意ください。なお、海外においては国際モダプツ協会が教育訓練を行っています。
日本モダプツ協会についてのお問合せは、小松原(日本モダプツ協会会長)宛お願いいたします。 |